まず、噴射ポンプは決して魔法のモノではありません。
個々のパーツを理解して一番効率がよい最適なパーツを選りすぐんで組み付けます。
噴射ポンプの燃料の噴射量の決定はプランジャーに付くスピルリングで燃料噴射終了時の違いにより変化します。
どんな調整をしても最終的にはスピルリングの位置ですべてが決定されます。
一般的に言う燃料噴射量とは燃料噴射時間だとお考え下さい。
スピルバルブによる燃料噴射終了時間で燃料噴射時間が制御されています。
スピルリングはガバナという機械的な装置できめ細かに位置が決定されています。
一般的にブーコンシャフトを交換すると燃料が増えます。一見、スロットルにプラスして燃料を増やす機械装置だと思いがちです。
しかしスロットルレバーを開けたときガバナの前方向にブーコンレバーがあるため
実際はスロットルレバーを開けてもガバナが開く方向に動かさないストッパーのようなモノです。
もし、ブーコンシャフトが凄く細い棒だとするとスロットルレバーとガバナの動きが1:1の比例になる感覚です。
ブーコンシャフトの角度はスロットルとガバナの比率連動割合を決める大きな役割を果たします
それがアクセルを開けたときの加速レスポンスに大きく左右します。
しかし、高回転になればなるほど燃料の噴射量が少なくなります。
フライウエイトと言われる部分が回転による遠心力でガバナを戻す方向に動かすためです。
これは機械式噴射ポンプに必ずあるシステムです。
スモークセットスクリューはガバナの全体の位置(角度)を変える部分です。
スモークのボルトがガバナの背中を押す為そうなります。
決して燃料を増やすためではなく結果的に全体に増えるだけです。だからアイドリングも上がります。
スピルリングの位置が長い時間燃料が出るような位置になるためです。
しかしそれは本当のポンプセッティングではありません。
アクセルを開いたときにスピルリングの位置が燃料を増やす位置に適切にあることがセッティングのポイントとなります。
当社ではスモークでの燃料増量調整とはせずに単にバランスを取るための調整だと考えています。
また、ポンプからの噴射圧力が強いほど同じ噴射時間でも結果的に多くの量が噴射されることになります。
また噴射時間の増加は噴射開始を早めることでも多くなります。
一般的に噴射タイミングと呼ばれているものです。
噴射タイミングも高回転に達した場合の最高噴射タイミングとそれまでの進角スピードがあります。
噴射ノズルも霧状に噴霧しなくなるためにチップの交換が必要です。
開弁圧が高いと噴射圧力が高いと考えがちですがデリバリーパイプの圧力が高くなった時にいつ噴射始めるかだけです。
ポンプの圧力は高いので一度ノズルが開けば高噴霧になります。開弁圧は関係ありません。
噴射ポンプでの噴射が終わった後、デリバリーパイプの圧力が低下します。
低下した時に決められた圧力で噴射を止めるのが開弁圧です。
すなわち開弁圧が低いと噴射開始が早まり、噴射終了時間が遅くなります。
逆に開弁圧を上げると同じ状態のポンプでもノズルから噴射されるタイミングは遅くなり、噴射終了も早まります。
すなわち噴射時間が短くなります。
距離を走った車輌ではノズルの噴霧状態と共に開弁圧のバラツキによる噴射量の違いも発生します。
調子が悪い、振動する、黒煙が多くなった、燃費が悪くなった、走りが悪い・・・
こんな症状の時には噴射ポンプと噴射ノズルのオーバーホールさえしてやると復活します。
ちなみに最近のディーゼルターボ車は噴射圧を高めて短い時間で効率よく噴射します。
環境に優しい低公害でありながらパワーもあるという
技術の向上で大きな飛躍を遂げています。
プランジャー中央部にあるのがスピルリングです。
プランジャーとデリバリーパイプに燃料を振り分けるデスビヘッドとの位置関係は大切です。
右の写真はプランジャーの種類による違いです。
下の写真はカムローラーの違いです。
左のカムがリフト量も高く、カムプロフィールも大幅に違います。
一回転するスピードは同じですからプランジャーの動く量とスピードが違うことになります。
すなわち左のカムを使うことでポンプからの噴射圧力が高いと言うことです。
走行距離が伸びている車はカムローラーの山が削れて均一な圧力や量になりません。
また、走行距離が伸びるとカムローラーが削られてスピルリングの位置が実際には増えます。
なので過走行の車には黒煙が出やすいということになります。
そのため交換するのですが、当社ではポンプをオーバーホールした場合は
このような部分まで効率の良いパーツに交換しています。
噴射ポンプ内です。
左はプランジャーがセットされるカムローラーです。そのカムローラーの上にシムが乗り
その上にプランジャーがセットされます(写真右)
プランジャーは燃料の吸い込みと燃料の噴射をする大切なものです。
デスビヘッドに対しての寸法が大きく変わるとエンジンの不調につながります。
あくまでそれを位置付けるためにシムの厚みを決定します。